東京大学
東京大学の加藤洋一郎教授らの研究グループは先月、田んぼで行う太陽光発電は総収益を従来の5倍に伸ばすと明らかにしている。農地の環境悪化により収量が2割程度少なくなるが、収益は倍以上に増加する可能性そうだ。学術誌「フィールド・クロップス・リサーチ」に掲載されている。
近年、農地で太陽光発電を行う「ソーラーシェアリング」が注目されている。だが、畑などの上に発電設備を設置するため、太陽光が作物まで十分に届かないことによる収穫量の低下が懸念されている。そこで、グループは茨城県の水田で、2018年から6年間にわたりその影響を調査した。
研究グループは水田から3.3メートルの高さに発電システムを設置。稲品種「あさひのゆめ」と「とちぎの星」を使って発電と稲作の両立について実験した。
その結果、稲の1年あたりの収穫量は設備によって生じる日陰や水温低下などにより平均して約20パーセント減少すると判明。一方で、固定価格買取制度(FIT)で電力会社が電気を買い取る場合に、25年レートで5倍の総収益が得られると水産した。
グループは再生可能エネルギーと食料安全保障の両立は重要課題だと指摘。「ソーラーシェアリング水田に適した栽培管理技術の開発や新たな水稲品種の開発に取り組んでいくことが望まれる」とコメントしている。
■固定価格買取制度(FIT) 再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が特定の価格で買い取る制度。東日本大震災による原子力発電所の事故を受け、再エネの普及を図るために設けられた。対象は太陽光と風力、水力、地熱、バイオマスだ。地上設置の太陽光発電で発電力が10キロワット以上50キロワット未満の場合の2026年度レートは9.9円となっている