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昆虫の触角を使ったドローン におい発生源を探知 災害救助などに応用 信州大と千葉大

開発されたバイオハイブリッドドローン(提供:信州大・照月大悟准教授)=2月20日撮影、信州大学繊維学部 照月研究室

信州大学と千葉大学の研究グループは19日、昆虫の触角を使ったバイオハイブリッドドローンを開発した。においの濃度と発生源を探索できる世界最高性能の嗅覚飛行ロボットを生み出すことに成功している。5メートル離れた地点に自律的に到達しており、ナビゲーションを使う10センチ程度の小型ドローンでは世界記録となるという。災害救助などへの応用につながる可能性もある。

ガなどは触角を利用することで、数キロ離れた場所にいるメスをフェロモンで探し出している。一般的なドローンでは、レーザーや熱画像を使って飛行を制御しているが、高温、暗闇といった環境では性能が低下してしまう。そこで、においを利用することで、災害現場での探査、危険物質の特定への活用が期待できる。

研究チームは2021年にもカイコガの触角を使ったドローンを作製していたが、におい源を感知できる範囲は2メートル程度に限られていた。

グループは研究で昆虫の羽ばたきが気流をコントロールしていることに注目。においセンサーをカバーで覆って状況を再現することでより高精度に検出できるようになった。さらに、空中で一時停止する機能を追加して、性能を過去モデルより2倍以上向上させた。蚊(か)の触角を利用することで、人のにおいを検出して災害救助にも応用できそうだとしている。

照月大悟・准教授は災害救助への利用に関して、ヒト臭検出やにおいに特化したドローン開発が課題だとし、「5年後を目途にヒト臭検出が可能な匂いセンサシステムを開発して、災害現場を模擬した環境での運用実験などを行いたい」と力を込めている。