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ナンキョクユスリカ、冬越しで成虫化 1年目と2年目で別の方法

大阪公立大学の後藤慎介教授らのグループは、南極大陸の陸生成物として最大の「ナンキョクユスリカ」の成長過程を調査した。同ユスリカの越冬方法や冬越しが成虫となるために重要な条件であると発見している。英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に12日付で掲載されている。

ナンキョクユスリカは南極に生息する数ミリ程度の昆虫。夏にふ化した後、その間に2齢幼虫まで成長し越冬する。その後、再び夏に4齢幼虫まで育って冬を越した後、夏に成虫となる。夏に一斉に成虫になるなどといった季節性が、なぜ存在するのかなどは判明しておらず謎の多い昆虫だ。

研究グループは6年かけて飼育法を確立。観察の結果、1度目の冬を寒くなれば発育を停止し暖かくなれば再開する「休止」で、次の冬を自発的な発育休止である「内因性休眠」でやり過ごすと推測されている。

また、同ユスリカを3~6カ月の間、冬の条件にさらす集団とそうでない群に分けた。すると、越冬した虫からは成虫が現れたが、そうでない集団からは出現しなかった。

グループの一員である吉田美月さんは「生物の環境適応の仕組みを明らかにするために、特殊な環境に生息する個体そのものを観察することで、南極での生存に不可欠な性質を発見した」とコメントしている。