東京科学大学
東京科学大学の島田怜実(しまだ・さとみ)大学院生や松山祐輔准教授らの研究グループは12日、所得による認知症の健康格差を明らかにした。そして、歯の喪失につながることがその一因であるとしている。昨年12月の学術誌「ジャーナル・オブ・デンティストリー」の電子版に掲載された。
研究では65歳以上の2万1306人の高齢者を分析した。
その結果、認知症を発症した人の割合は世帯収入200万円未満で24%、以上で19.7%だった。本人の歯が20本未満の場合は、世帯年収200万円未満で68.9%、200万円以上で57.8%だった。
さらに詳細に調査したところ、所得が200万円未満の人は以上に比べて認知症リスクが1.17倍高く、統計的に有意な差が認められた。所得と認知症リスクの関係の中で、1割程度が歯がなくなっていることと関連していたという。
グループは「歯の損失が所得と認知症の関連の一因であることを明らかにした」とし「認知症の健康格差の縮小のために、歯の健康を保つことが有効であると発信していきたい」と訴えている。