京都大学
京都大学の岡⽥遥平研究員らや国立シンガポール大学、ソウル大学などの研究チームは今年度、その場に居合わせた人による心肺蘇生(バイスタンダーCPR)が10年で増加した一方で、実施割合は50~60%で停滞していることを明らかにした。
研究グループは日本とシンガポール、韓国の院外における心停止患者のデータベースを使って心肺蘇生の実施割合を分析した。
その結果、日本は49万1067、シンガポールは1万3143、韓国は8万7997例が解析対象となった。日本では2010年~15年にかけて、実施割合が39から46%に増加。シンガポールは22から53%に、韓国は12~15年に、37から56%まで上昇したが、それぞれその後は停滞傾向となっていた。
グループはバイスタンダーCPR普及を阻む「見えない天井」があると分析。心理的、社会的、文化的要因に焦点を当てた調査を進めていく必要があると指摘。岡田研究員は「この結果がバイスタンダーCPRの普及啓発のための問題提起となり、停滞の原因の更なる検証の契機になるのではないかと期待している」とコメントした。