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ひきこもり 精神科と政府基準に差 有病率は約3割 筑波大と東洋学園大など

筑波大学

筑波大学の太刀川弘和教授と茨城県立こころの医療センター、東洋学園大学の研究グループは7日、精神医学領域と政府調査基準のひきこもりの定義が異なる上、それぞれの意味が重なる度合も小さいと確認している。日本精神神経学会の機関誌に同日付で掲載されている。

精神科ではひきこもりの基準を「病的ひきこもり」と「非病的ひきこもり」とし、政府基準では「社会的ひきこもり」としている。それぞれを判断するための3つの主要項目のうち、そのうち2つは共通しているが、項目「社会的孤⽴による重⼤な機能障害や苦痛」は病的ひきこもりにのみ存在する。だが。精神科と政府の基準でひきこもり有病率を同時に推定した調査はこれまでになかった。

研究では昨年2~3月に2000人を対象としたアンケート調査を実施。1137件の回答を得ている。結果から病的ひきこもりと非病的ひきこもり、社会的ひきこもりに該当する人数を算出した。

それによると、有病率は28.4%。病的ひきこもりに分類される57人のうち21人が社会的ひきこもりにも当てはまった。また、非病的ひきこもりは201人で59人が社会的ひきこもりであった。

グループは「定義や⺟集団の特徴の違いが明確に理解されなければ、ひきこもりについて誤った解釈が起こる可能性がある」と指摘。「精神状態を正しく評価し、精神保健福祉の観点から多⾓的に対応することの認識も重要だ」と述べている。