国立天文台と理化学研究所、工学院大学は6日、チリにある電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」を使って新しくできた恒星の磁場構造を描きだすことに初めて成功した。惑星形成の磁場の役割解明に大きく貢献するとしている。英科学誌「ネイチャーアストロノミー」に掲載されている。
地球などの惑星は、原始惑星系円盤の中で塵やガスが集まって形成されたと考えられている。だが、まだ多くの謎が残されている。磁場は円盤の中で物質の動きを決定する重要な要素とされるが、それを観測することは困難であった。
研究チームは若い星「HD142527」を取り巻く円盤を観測して、電波の振動方向の偏りを調べた。その結果、円盤の片側では磁場によって同じ偏光パターンを生み出していると発見している。
また、円盤の回転方向により磁場の方向が少し変動していると分かった。磁場の3次元構造が要因であると推測して、中心星からの磁場の強さを推定することに成功している。この円盤では強い乱流場が作られている可能性もあるという。
国立天文台の大橋聡史・特任助教は「強い乱流状態では、塵が衝突することで破壊され、惑星が形成されない可能性がある」と指摘。「磁場が惑星形成にどのような影響を及ぼすのか、今後の研究を導く重要な観測成果となる」としている。