国立極地研究所
国立極地研究所の猪上淳教授らのグループは、世界気象機関(WMO)が推進する無人航空機による気象キャンペーンの一環で、昨年3月から2カ月に渡りドローンで1日2回の気象観測を気象研究所(茨城県)で実施した。発展途上国や山岳での観測網強化の可能性を示している。
WMOは無人航空機を気象観測システムとして利用できるかを検討するキャンペーンを同年3~9月に実施。気温や気圧、風速などを測る3種類の機体を用いてその精度や結果を3時間以内に通報できるかを調査した。センサーをバルーンに取り付けて気象を測る「ラジオゾンデ観測」と比較した。
その結果、高度400メートルより上層ではラジオゾンデとの気温差は0.5度以内に収まり、天気予報の基とできるほどの観測精度を満たした。湿度や風速も正確性の高いデータを通達できた。一方で、雨天時や強風時に観測できないというドローンの限界も証明されている。
グループは「北極域研究船『みらいⅡ』などでドローンによる気象観測を継続的に実施し、各国に先駆けて極域の観測データの空白域を解消する活動をしていく」としている。