ナナフシモドキの交尾の様子(下)オス(上)メス
日本でナナフシとも呼ばれる「ナナフシモドキ」—。そのオスは希少で数千匹に1匹とされている。基礎生物学研究所(愛知県)の野崎友成助教らと福島大学、神戸大学の研究チームは、ナナフシモドキのオスが、その機能を完全に失っていると発見した。
ナナフシモドキは交尾せずに卵を産む。だが、まれにオスがおり、グループは7匹を収集してオスの体と交尾行動を観察した。すると、少なくとも3匹のオスがメスに接触した。オスが積極的に活動して、メスの体内からはオスの精包が確認されている。
しかし、交尾前後にナナフシモドキのメスが産み落とした卵を回収して遺伝子型を調べると、オスの遺伝子型は認められなかった。また、ナナフシモドキのオスの2体からは正常な精子が形成されていないと判明したという。
野崎教授は「オスを作らなくてよいため、2倍の子どもを作れる」とメリットを説明。一方で、「外敵から一網打尽にされる可能性がある」と指摘している。だが、長い進化の過程でいろんなクローンがいることも分かっており、いろんな変容を蓄積しているのだという。