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大雪山の高山植物 温暖化の影響は地下茎が未熟ほど大きい 北大

北海道大学

北海道大学の小林悠佳大学院生と小林誠准教授らのグループは、大雪山(北海道)に生える高山植物12種を40年間調査した。減少した種は水平に伸びる地下の茎が発達していなかったことが明らかにしている。

温暖化による高山植生への影響を調べるには、環境変化から受ける影響を知ることが重要だ。これまで植物の地上の状態が多く研究されてきたが、地下の分析はあまりされてこなかった。

研究グループは大雪山の花畑に生える12種の植物を対象に、1972年から40年間で減少、増加した種を分析した。

減少種と増加種を比較すると、減少種は地下茎の量が少なく、細根が太くて本数が少ないことが認められている。さらに、地上に対する地下部の重量比が小さいと分かった。高山植物は根で地下資源を吸い上げて、乾燥ストレス耐性を高めていると考えられ、細根が多いほど水分吸収能力が高いと考えられる。

グループは、温暖化により雪解けが早まり土壌からの水分蒸発が進むことで、細根が少ない減少種がダメージを受けていると推察。「植物の地下の特徴に着目することで、どのような種が環境変化に脆弱なのかを予測して影響を検出できる」としている。

■高山植物

森林限界よりも高い環境に生えている植物。