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ニホンザル、ネガティブ気分で体を掻く? 体を掻いて悲観的になる? 京大

京都大学

京都大学の壹岐朔⺒(いき・さくみ)特定研究員と⾜⽴幾磨(あだち・いくま)同准教授の研究チームは5日、ニホンザルは感情による身体反応の後に認知する場合が多いと分かった公表している。同日付の英学術誌「英国王立協会紀要」に掲載されている。

チームは6頭のニホンザルを対象に、ネガティブな気持ちと関連する行動「セルフスクラッチ」(体を掻く行動)と悪い結果を予想する傾向の関係を調査。触るとエサがもらえる別々の色のボタンをランダムで表示し、その中にどちらか判断できない「あいまいボタン」を混ぜた。あいまいボタンへの反応とセルフスクラッチを照らし合わせている。

その結果、ニホンザルはセルフスクラッチをした後に悲観的な判断に至ると判明。だが、悲観的な考えを持った直後にセルフスクラッチをするとは限らないと分かった。素早い身体反応で状況に対処し、その後認知的処理を行う戦略は野生環境では有益だと考えられるという。

壹岐研究員は「今後はポジティブな情動にも焦点をあて、どのような条件や刺激がそのような情動を喚起するか調べることで飼育動物の福祉を評価する研究にも取り組みたい」と力を込めている。