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ナラ枯れ 樹木の分解を阻害 東北大

東北大学

東北大学の深澤遊准教授らのグループは8日、病原菌によってブナ科の樹木が枯れる「ナラ枯れ」を起こした木は菌類によってその分解が遅くなっている可能性を指摘している。

ナラ枯れは害虫のカシノナガキクイムシが樹木を「ナラ菌」に感染させることで、枯死させる現象。枯れた木の分解で多くの二酸化炭素(CO2)が放出されると予想されている。

研究グループは宮城と京都、宮崎で枯れた「コナラ」と外見上健全な同種を切り倒し、丸太にした。森林に設置し、それぞれの分解過程と菌類の変動をモニタリングしている。設置から1.5年のサンプルを対象に菌類を調べた。

ナラ枯れした丸太の菌の多様性は、健全な丸太よりも小さくなっていた。また、植物に必須の物質であるリグニンを分解する力のある「白色腐朽中菌」が増加していた。さらに、菌類群集の違いから初期分解を阻害していたという。

グループは「コナラ枯死木の分解過程へのナラ枯れの長期的な影響が明らかになれば、ナラ枯れが森林のCO2放出に与える効果に関する予測精度が向上する」としている。

■リグニン

木材を構成する3大成分の一つ。ほかにセルロースとヘミセルロースが存在する。難分解性の物質。