東京大学
東京大学の後藤暁彦大学院生らの研究グループは29日、サケやイワナなどのように川で生まれ海で育ち、再び戻ってくる魚の海への依存度は緯度が高まるほど大きくなると発表した。同日付の英科学誌に掲載されている。
回遊魚にはイワナのように川で生まれて海で育つ「遡河型」とウナギのように海で生まれ川で成長する「降河型」がいる。遡河は高緯度、降河は低緯度地域に多い。また、同じ型でも緯度が高ければ海、低いほど川に留まる割合が高いと分かっている。だが、同じ種類でも当てはまるかを検証する試みは行われてこなかった。
北海道から新潟県までの16河川で遡河回遊魚であるイワナを採集。耳石を使って回遊と成長履歴を調べた。その結果、海での体重増加割合は高緯度で高く、川での成長率は緯度が高くなるほど減少した。分布域の南限で海に出ても魚にとってメリットがないと確認している。
研究グループは「緯度に従う回遊魚の海洋・河川依存傾向は、気候変動によって水温などの環境条件が変化した場合、通し回遊魚の回遊性が失われる可能性を予測する上で役立つ」としている。
■通し回遊魚
生涯において、海と川を行き来する回遊魚