ユメカワニナ
京都大学の澤田直人大学院生と高知大学の三浦収教授らの研究グループは21日、クロダカワニナの解析によって新たに「タジマカワニナ」と「サキガケカワニナ」、「ユメカワニナ」を発見したと発表している。日本の22種のうち20種がヤマトカワニナかナカセコカワニナグループに属しており、ユメカワニナは初めて湖外で見つかったナカセコカワニナグループとなった。
カワニナは細貝貝殻を持つ貝で、奇麗で水流のある場所に生息する。その中でクロダカワニナのみが琵琶湖水系以外にも生息し、静岡から岡山県までの広域に分布すると知られていた。クロダカワニナだけが、琵琶湖から湖外へ進出したと考えられていた。
研究グループは東海と近畿、中国、四国の37地点でクロダカワニナの探索を実施。118標本を収集し、クロダカワニナの遺伝解析などを行った。その結果、4種に分けられることが判明。
クロダカワニナの中から、新たに認められたタジマカワニナは兵庫県と鳥取県に分布。流れの緩やかな砂底に生息している。サキガケカワニナは静岡と愛知県におり、胎児数が100個前後と多いことが特徴だ。ユメカワニナは岡山県南部でのみ発見され、新種の中では唯一ナカセコカワニナグループに属するという。そのほかは、ヤマトカワニナグループだった。
澤田大学院生はかつて、「琵琶湖から外に出たカワニナはクロダカワニナだけなのか」と妄想していたと紹介。今回、「ユメカワニナを発見し、妄想を確認できたことを幸せに感じている」と述べ、「今後もカワニナ属が辿ってきた進化史の解明に挑みたい」と力を込めている。