上智大学
上智大学の外川拓准教授と早稲田大学、神奈川大学など4大学の研究グループは、富士フィルムと共同で紙とオンラインクーポンを比較して、印刷したクーポンのほうがオンラインよりも利用率が高く利益にも貢献していると発表した。
企業はデジタル化によってアプリやメールなどを使った販促活動を増加させている。だが、印刷物で読むほうが画面よりも記憶に残りやすいとされる。グループはオンラインとオフラインクーポンの違いは消費者の行動反応にどのように影響するかを調べた。
研究では「オンライン媒体よりも印刷物による販促の方が、より効果的に消費者の行動反応を誘発する」という仮説をたてた。検証するために富士フィルムと協力して、印刷版と電子メールのどちらかで7500人にクーポンを2回送付するフィールド実験を行った。
その結果、1度でも印刷物クーポンを送られた人は、電子メールのみの者よりも5倍以上利用率が大きくなった。印刷物を開封した人は、オンラインで開けた人に比べてクーポンの内容理解度が高かったという。
また、フィールド実験に存在するメディア以外の要因も考慮するため、127人の学生と実験室実験を実施しても、同様の結果だった。
外川准教授は「印刷媒体は認知効果を高めるものの、即時性や反応の測定可能性の点ではオンライン媒体のほうが優れている可能性もある」と評価。「今後は販促やプロモーションの目的に応じて、それぞれの媒体の長所を最大化するような組み合わせを検討することが重要になってくる」と述べている。