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アマミノクロウサギ・ケナガネズミなど琉球固有種を解析 半島に分かれた時期に差

北海道大学

富山大学の木下豪太助教と北海道大学の須田杏子、森林総合研究所の青木大輔研究員らのグループは21日、琉球地域の固有種である「アマミノクロウサギ」「ケナガネズミ」「トゲネズミ」を解析した。固有種ごとに半島に分かれた時期が異なると分かり、種の保全に生かされる成果だという。

琉球列島は600~1000万年前には陸続きであったという仮説がある。島が分離する際には、それぞれが徐々に離れていったとされる。研究グループは3種の遺伝子配列を解析して、琉球半島の奄美大島や徳之島などに生息する3種が島々に分かれていった順序やタイミングを調べた。

その結果、奄美大島と徳之島、沖縄島に暮らすトゲネズミは約500万年前にさかのぼり、同島に生息するケナガネズミと奄美大島と徳之島で生きるアマミノクロウサギは約12~78万年前になると推定された。

アマミノクロウサギとケナガネズミは各島の集団が隔てられたまま、存続してきたと分かった。一方で、特に徳之島で暮らすケナガネズミは奄美大島と沖縄島で生活する集団が合流して生まれたと判明している。

研究グループは「これらの種を含めた琉球列島の⽣物やその他の地域の⽣物についても、個々の集団の歴史や遺伝的多様性を踏まえた保全対策が進められることが期待される」としている。