ヨロンヒモイカリナマコの標本、撮影:山名裕介学芸員
京都大学と鹿児島大学、和歌山県立自然博物館のチームは、ヨロンヒモイカリナマコ属の標本を調査し、「ヨロンヒモイカリナマコ」「ココツヒモイカリナマコ」「サツマヒモイカリナマコ」「ハナシヒモイカリナマコ」の4種を新種として記載したと発表した。皮膚内の骨片で見分ける方法を世界で初めて生み出している。
ナマコは動植物由来のホコリを食べることで海洋環境の悪化が起こりにくくしている。だが、日本に何種類のナマコが生息しているのかは分かっていない。ナマコ類の把握が求められている。
研究グループは過去30年間に得られた日本のヒモイカリナマコ属の標本を調査し、新たに4種の発見に至った。
4種の全長は約10センチ。ヨロンヒモイカリとサツマヒモヒカリは鹿児島県と熊本県に、ココツヒモイカリは鹿児島県と佐賀県、ハナシヒモイカリは沖縄県に生息している。
グループはヒモイカリナマコ属の標本を輪切りにして観察。内臓の位置や骨片などを分析した。外見から種を特定することが難しいヒモイカリナマコの骨片の形で、決定する方法を発見している。
グループのメンバーで京大の山守瑠奈助教と山名裕介学芸員は「論文に求められる客観性と再現性を示すための骨片の形で種を分別する方法の考案に考えを重ねた」とし「日本のナマコ4種類に名前がついた。全てに名が付く日が、じわりじわりと近づいる」と述べている。