ツキノワグマがニホンジカを襲う様子
東京農工大学の稲垣亜希乃・特任助教らと米イリノイ大学の研究チームは、ツキノワグマが罠にかかったニホンジカを採食する様子を捉えたと報告した。生きたシカをツキノワグマが捕食した事例は世界で初めてだという。国際クマ協会が発行する学術紙「Ursus」に12月31日付で掲載されている。
近年、本州で罠にかかったシカがツキノワグマに食べられる事例が報告されており、チームはその撮影を試みた。その結果、メスのシカを襲って10分で動かなくする現場をおさえることに成功している。
ツキノワグマが生きたシカを食べることは知られていないが、それが可能であると判明した。捕獲従事者が捕まえたシカを処理する作業時の脅威にもつながりそうだ。
チームはワイヤーが獣の足を捕らえる「くくり罠」は、動物の肉を動かすことを困難にすると紹介。そのため、ツキノワグマはその場所でシカを食べ続ける必要があり、人との遭遇の可能性を高めると指摘した。「双方の危険性を小さくする捕獲技術が求められている」と評価している。
![](https://bunkyodezi.com/wp-content/uploads/2025/01/32d0fdfae0ce6badd4d4f53d79b797ef-1024x714.png)
捕食されたニホンジカ