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投手の上腕動脈径は大きく成長 投球能力向上に寄与 筑波大

筑波大学

筑波大学の小﨑恵生(こさき・けいせい)助教は19日、投手のポジションにつく野球選手の上腕動脈が利き腕と逆腕で上腕動脈径の大きさが異なると発見している。トレーニング戦略の⽴案や繰り返しの動作により引き起こされるスポーツ障害を予防するための対策の確⽴に貢献できるとしている。

高強度のトレーニングを行うアスリートは、競技の特性に従って動脈の構造・機能が適応する「アスリート動脈」ができるとされる。アスリート動脈はパフォーマンスを向上させると知られるが、大学野球では検証されてこなかった。

研究では硬式野球部の男性投手34人、野手41人と運動習慣のない男性23人を対象に、両腕の上腕動脈の直径と血流速度、血流量を測定した。その結果、運動習慣のない人と比較して投手と野手は、直径と血流量の数値が大きかった。

また、投手の利き腕とそうでない腕の上腕動脈径を比較すると投手のみ高い傾向があったという。これによる効果について、小崎助教は「運動中における活動筋への血流供給が最適化され、筋持久力などが改善する可能性があるのではないか」と考察する。

「アスリート特有の⽣理的な動脈適応の特徴を理解することは、効果的なトレーニング戦略の⽴案や内科的なスポーツ障害の予防策の確⽴に⼤きく貢献すると期待できる」と意義を伝えている。