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世界初 腸オルガノイドを管状に構成 東京科学大

東京科学大学

東京科学大学の水谷知裕講師らのグループは11日、新たなヒト腸オルガノイドを開発した。腸組織の特徴である管腔構造であるヒト腸組織の構築に世界で初めて成功したという。学術誌「セル・リポーツ・メソッド」に掲載されている。

オルガノイドは試験管内の細胞から作るミニチュア臓器。これまで、幹細胞で作られたオルガノイドを腸のような管構造にすることは困難であった。腸管切除により腸機能を欠損させた患者は、生活の質を著しく低下させる。その対策として、体外で臓器を作成する取り組みが注目されている。

グループは特殊なプレートを使ってオルガノイドを播種(はしゅ)し、ひも状に融合させた。組織構築を促すバイオリアクターを用いて浮遊培養させたところ、管状の腸オルガノイドへと成熟させることができたという。

水谷講師らは「臓器移植の代替手段として、iPS細胞由来ヒト腸管グラフトを活用した消化管再生医療の実現が大きく前進する」と評価している。