ニホンザルの毛づくろいの様子
京都大学の⾙ヶ⽯優(かいがいし・ゆう)研究員らのチームは19日、群れの中心のサルほど自己抑制能力が高いと明らかにした。複雑な社会が認知能力を進化させる「社会的知性仮説」について、人以外で検証を行った初めての調査だという。
研究では淡路島(兵庫県)に生息する餌付けされた野生のニホンザル計119頭を対象に行動観察と認知実験を行った。
実験で物理的認知と社会的認知、自己抑制能力を分析。自身を抑制する力にのみ社会的中心性との関連が確認されたという。この能力は衝動的な活動を抑えて、さまざまな状況で柔軟に対応することを可能にすると推測している。
グループは「ニホンザルの社会⽣活においても、ケンカの後に攻撃性を抑えて相⼿と仲直りしたり、敵意が無いことを知らせながら⽑づくろいしたりなど柔軟に振る舞うことが求められる場⾯は多く⾒受けられる」と紹介。「社会的に重要な位置を占めるサルは、⾼い⾃⼰抑制能⼒を発揮することで、社会の中でうまく⽴ち振る舞っているのかも知れない」としている。