東京科学大学
東京科学大学の上阪直史(うえさか・なおふみ)教授らの研究グループは13日、発達時の鼻呼吸が運動機能の最適化や抑うつの抑制に重要な役割を果たしていると明らかにした。人間の医療や健康管理にも応用できるかを検討し、新たな治療法などにつなげていけるとよいという。
鼻炎などで起こる⿐呼吸障害は、睡眠の質の低下や顎(がく)顔面の成長にも影響を与えるとされている。だが、脳の発達にどのように影響するのかは、ほとんど解明されていなかった。
グループは認知機能や感情へ関与する小脳に注目してマウスを用いて解析。生後3日、3週、2カ月マウスの片方の鼻を閉じた。鼻呼吸障害が運動能力の低下と抑うつを増大させていると判明。生後3日~3週間は抑うつに、3~7週間の鼻呼吸障害は運動機能に特に影響していた。
上阪教授らは「⿐呼吸障害が単なる呼吸の問題を超え、脳の発達や将来の精神的・⾝体的健康にも深く関わる可能性を⽰唆している」とコメント。「知見が人にも適⽤できるかを確認し、具体的な治療法や予防法の開発につなげていけるとよい」と述べている。