カツオノエボシが生殖枝を切り離すイメージ図
東海大学の小口晃平講師と東京大学、米イェール大学の共同研究チームは13日、毒クラゲの「カツオノエボシ」が繁殖のために海中を漂わせる「生殖枝」の生殖細胞は放出時に未成熟であると発表した。この知見は、カツオノエボシの繁殖活動の解析に対する貢献が期待されている。
カツオノエボシは10センチ程度の青色のクラゲで、日本の海水浴場などでも見られる。とても身近な存在だが、毒針があり人が刺されるとアナフィラキシーショックで死に至る場合もある。精子や卵が見つかっておらず、どこでどのように繁殖しているのかといった謎も多い。
カツオノエボシは繁殖器官とされる生殖枝を放出し、この中には精子や卵を作ると考えられる「生殖体」という構造がある。チームがそれらを対象に観察を行ったところ、本体から切り離した時点では精子や卵は認められず、生殖細胞が成熟していなかった。減数分裂の初期段階にあり、放出後に成熟が進む可能性が示されている。
チームは「生殖枝がいつどこで本体から切り離されるのか。切り離された後、どのように成熟して配偶子が放出されるのかを解明したい」と力を込める。「この研究をきっかけに、世界規模で行われることでカツオノエボシの生活史の全貌が明らかになるとよい」としている。